飲食業経理の失敗事例55
飲食業経理の失敗事例55 新規開店、新装リニューアル、新メニュー開発・・・・。
時として失敗を恐れぬチャレンジが必要な飲食店経営。
でも、だからこそ、「経理」で失敗してはいけません。
本書はあらかじめ「飲食業経理の失敗」から
貴店を守る一冊です。
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飲食業経理の失敗事例55

第2章 事務・経理一般編

事例31店舗に必要な保険

当店はビルの2階で営業をするフランス料理店 (個人事業主)です。先日、トイレの配管が詰まっ てしまい、急ぎ修理を行いました。  ところが配管が詰まった影響で、階下の日本料 理店にまで水が漏れ、天井、壁、畳、掛け軸などが 汚損したとの連絡が入りました。水漏れをおこし たのは当店の責任ですので補償はやむを得ないと 考えておりましたが、被害額は1,500万円以上 との請求額にびっくり!  当店の業績は好調でしたが、あまりにも大きな 損害額に、これからどうしていいのか困り切って います。

失敗のポイント

2階以上の店舗の場合には、こうした 水漏れのリスクはついてまわります。階 下に日本料理店(かなり高級、と見受け られますね)があるならば、水が漏れた ときの被害はどの程度なのかをあらかじ め考えて備えをしておくべきでした。し かも個人事業の場合は賠償につき無限責 任を負うことになりますので、保険など の備えをしておくべきだったかもしれま せん。  この備えを怠ったことが、今回の失敗 のポイントです。

正しい対応

 まず、自分の店のリスクを洗い出します。  次に、リスクに対してどの程度の費用が発 生するのかを考え、必要に応じて保険に加入 することを検討します。リスクごとに個別 の保険や特約に加入する方法のほか、様々な リスクを幅広くカバーする事業用総合保険 などがあります。  ちなみに積立型の保険でない限り、ほとん どの保険料は損金に算入することができま す。

ポイント解説

 飲食店には、思わぬリスクがつきものです。保険と言えば火災や地震の 直接被害を受けての損害に対する火災保険、地震保険をはじめ、盗難・強 盗に対する盗難保険などが真っ先に浮かぶかもしれませんね。  実は飲食店に対するリスクはそれだけではありません。飲食店特有のリ スクとして考えられるのは、食中毒発生に伴うリスク。健康被害にあわれ たお客様への治療代、慰謝料などの賠償をはじめ、食中毒発生による休業 損失のリスクも無視できません。  さらに、店の場所や営業形態により、個別に考えるべきリスクもありま す。  たとえばこの事例のように、店の下に別の店やオフィスがある場合には 水漏れのリスクも考えなくてはいけません。特に階下に骨董品、精密機器、 医療機器などがある場合には、数千万円単位の損害賠償額になることもあ ります。逆に地下の店などは、大雨などの影響による浸水で什器備品が汚 損するリスクもあります。  デリバリーを行っている店であれば、デリバリー中の事故に対する補償 も大きなリスクになり得ます。  またステーキハウスのように焼けた鉄板をお客様の席まで直接サーブす るような業種の場合、従業員が誤って鉄板をお客様に落としてひどい火傷 を負わせる、ということもリスクとして考えておくべきでしょう。  まずは自分の店にどのようなリスクがあるのかを洗い出し、その上で保 険加入が必要なものについては積極的に保険を利用することを考えてみて 下さい。  飲食店で考えられる主なリスクは次のようなものです。 飲食店で考えられる主なリスク では、どのように保険を選べばよいのでしょうか。保険に詳しい方であ れば火災保険をメインにして、その他の補償内容を特約や別の保険でカ バーするという選択もありますが、最近では店舗で発生し得るほぼすべて のリスクをカバーする上、様々な補償を個別に掛けるよりも割安な「事業 用総合保険」への加入を検討する人が増えているようです。  保険料は、所在地、建物の構造、建築年、延床面積、所有か賃貸か、売上高、 粗利益高、保険期間などにより変わります。 (私たちの経験では、事業用の損害保険をたくさん掛けている店でも年 間10万円程度といった印象です)  保険料は、積立型の保険以外は保険料を全額、損金(個人の場合必要経 費)にすることができます。  損害賠償について、法人であれば有限責任とすることができますが、個 人の場合は無限責任を負うことになります。保険金に頼るようなケースは、 滅多に起きることではないことばかりです。だからといって備えを怠ると、 万一のときに精神的にも経済的にも大きな打撃を受けることになりかねま せん。  リスクとコストのバランスを考えながら、保険の利用も検討してみてく ださい。